現物不動産投資のリスクは
いわゆる財産三分法、預貯金・株式・不動産に分散投資をする方法が資産形成の方法として昔よりいわれていますが、時代の変遷とともに資産運用の方法や価値観の変化、運用商品の多様化もあり、上記資産割合を均分とする必然性もないと思います。
不動産投資における考えられるリスクとしては、思いつくだけでも、
・流動性リスク
・空室・空家リスク
・賃料滞納リスク
・賃料下落リスク
・地震・火災リスク
・(自殺や殺人事件、孤独死等)事故発生リスク
・人口減少・需要減少による不動産価格下落リスク
・・・等々あります。
上記リスクも保険を利用したり、家賃保証会社との契約である程度カバーできる部分もあるかもしれませんが、相応のコストがかかり、その分運用利回りは低下します。
税金、取得・運用コストが生じ、ローンを組めば金利負担で、その分運用利回りを押し下げる。リスク負担が大きい割には、それに応じた高い運用利回りが期待できないのではないか、とどうしても私は感じるのです。
現物不動産投資は、投資対象として、株式とは比較にならないくらい個別性が強く、流動性も低いです。
不動産について相応の知識を有していなければならず、ある程度の勉強をして知識を習得したうえで投資する必要があると思います。不勉強のまま投資をしてしまうと、不動産業者等の格好のカモになる可能性が高いでしょう。
そもそも知識・経験のある不動産業者が、利回りのよい、いわゆるおいしい物件を最初に確保するでしょうし、素人投資家をまるめこんで手持ちの物件を高値で購入させることも容易でしょう。
逆に、不動産業界で相応の勤務経験があり、不動産について熟知しているならば、不勉強な投資家が気づきにくい投資妙味のある物件を発見・取得でき、高い運用利回りを手にする可能性はあるということでしょうか。いずれにしろ、不動産の選別眼は必須と考えられます。
不動産は一度購入してしまうと、売却したくともすぐに売却できるものではありません。また不動産は高額であるため、失敗するとリカバリーは困難です。
株式よりもずっと流動性が低いのに、投資を開始するのに株式よりも多くのお金が必要となる。株式投資であれば、少額から(投資信託やETF、個別株でも単元未満株投資もあります。)始めて少しずつ勉強し、経験を積むことができます。
現物不動産投資はそれができないから、投資を開始するのにリスクも敷居も高すぎると私は考えます。
他人事ながら、素人投資家がフルローンで投資用不動産を購入するなど、とても正気の沙汰とは思えません。中には、自宅を住宅ローンで購入したうえに、投資物件をローンで購入するなんて方もいるようです。
税金・金利・その他の取得・運用コスト負担を勘案し、実際の利回りはどれ程になるか精査したうえで投資しているのでしょうか。また、空室・家賃滞納等で想定する利回りが得られなくなった場合は果たしてどうするのでしょう・・・。
※余談ですが、私は滞納家賃の回収業務に携わった経験があります。大方の賃借人は問題ないのでしょうが、極少数ですが世の中にはとんでもない賃借人もいるもので、賃料を回収できないばかりか、立ち退き訴訟にまで発展するケースもあり、滞納家賃回収コスト・立ち退きコスト・立ち退きまでの逸失コストもばかにならないケースも見てきました。
自宅をどう捉えるか
現在私は住宅ローンを利用して自宅を所有しています。
これは当初私の親がローンで購入した家でしたが、訳あってその家に住む必要がなくなり、加えてローンが払えなくなったため、私が一部繰上げ返済・借り換えをして肩代わりし、所有名義を私に変更して居住するようになったものです。
当初私は賃貸アパートに住んでおり、借り入れをしてまで自宅を購入するつもりはなかったのですが、結果として自宅不動産を所有することになってしまいました。(今振り返ると、自宅不動産を所有することによって、よい点も悪い点もありましたが、この話はまた別の機会に記そうと思います。関連記事:住宅ローン返済と資産運用、両立はできるのか)[blogcard url=”http://investmeneo.com/2017/07/30/post-256/”]
自分の資産を運用するという観点から、自宅不動産もポートフォリオの一部と捉えるべきだと私は考えます。たまたま自分がローンを払って住んでいるだけで、将来売却をしてもよいし、賃貸に出してもよいのです。
自宅不動産を所有していれば、すでにかなりの割合の不動産のポジションを持っているといってよいでしょう。資産運用であれば、ポートフォリオ配分に注意を払わなければなりません。
不動産投資信託(REIT)による投資はどうか
不動産投資信託(REIT)であれば、流動性リスクはクリアできます。
現物不動産投資と同様のリスクはある程度考えられますが、複数の不動産でポートフォリオが組まれているのでリスク分散が効いており、また流動性に優れているため、売却したい時に市場で売却できる。加えて、少額から始めることができます。
運用利回りは、質のよい個別不動産には劣るかもしれませんが、その分リスクは低く、自分のポートフォリオに不動産を組み入れたいと考えるのであれば、取っ掛かりとしては適切な投資対象だと私は考えます。
私なりの結論
現物不動産投資をするためには、不動産についての深い知識・経験・選択眼が必要で、現在私はそれを持ち合わせていない。また、有していたとしても、投資不動産をキャッシュで購入できるほどの余裕資金もない(レバレッジを効かせてまでリスクの高い投資不動産を保有したくない)。
自宅不動産を運用資産の一部と捉えるならば、現在の私のポートフォリオに占める現物不動産評価額は、約20%と一定割合を占め、今以上に不動産のポジションを増やす必要性が感じられない。
仮に不動産のポジションを増やすとしても、少額から始められ、流動性・一定の利回りも確保できるREIT(不動産投資信託)という代替投資対象があるため、現物不動産は選択しないし、それに固執する理由もない。
まぁぶっちゃけると、「自宅のローンもまだ返していかないといけないし、これ以上リスクの高い、よくわからん不動産は増やしたくないんだよね・・・」ということですd(^^)
私の場合は、今続けている株式投資で余りあるほどのキャッシュができ、自宅のローン返済を済ませ、なおかつ不動産投資に興味が出たら勉強したうえで、安い中古不動産をキャッシュで購入、試し試し運用を開始する・・・という流れになると予想できます。
でもキャッシュができたら株式に投入するだろうから、おそらく現物不動産投資をすることは今後もないだろうなぁ・・・としみじみ思うのでした。
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